「ホルムズ海峡の影響で、相場は本当に下がるのか?」
先月号(5月号)では、UAE経由の輸出フローの停滞による「国内滞留からの下押しリスク」を警戒シナリオとして提示しました。その後の5月のオークションを終え、結論を先にお伝えします。現時点では、警戒された下落は顕在化していません。
当メディア『Used Car Market Log』では、業者間オークション「USS」の取引データと最新の中古車輸出統計を独自に分析しています。2026年5月のUSS成約単価は179.6万円。前月比+9.6%、前年同月比+12.1%と明確に反発・上昇しました。4月後半から立ち上がった反発がそのまま継続した形です。輸出統計(4月確定)でもロシア・タンザニアを中心に出荷は安定しており、輸出先の構成が組み替わりながらも、国内相場はむしろ強含みで推移しています。
1. 業者間オークション相場:5月は成約単価が明確に反発
まずは数字を見ていきましょう。国内最大の中古車オークション「USS」の2026年5月実績は、4月の「下げ止まり」からさらに一段強含みました。
2026年5月実績(対4月比):成約単価+9.6%、出品・成約も増加
4月に落ち込んでいた出品台数・成約台数はそろって増加に転じ、成約単価は163.9万円→179.6万円と前月比+9.6%の大幅上昇。成約率も65.0%→66.5%(+1.5pt)と改善しました。3月の急落・4月の横ばいを経て、5月は需給がはっきり締まった月となりました。
| 項目 | 2026年4月 | 2026年5月 | 前月比 |
|---|---|---|---|
| 平均出品台数 | 19,632台 | 21,031台 | +7.1% |
| 平均成約台数 | 12,774台 | 13,981台 | +9.4% |
| 成約率 | 65.0% | 66.5% | +1.5pt |
| 成約単価 | 163.9万円 | 179.6万円 | +9.6% |
※USS東京会場の週次データを基に当編集部で月次平均を算出。5月は5/14・5/21・5/28開催分(3開催)の平均値です。
週次推移:5/21に186万円台へ、4月後半の反発が継続
週次の動きを追うと、4/16以降に立ち上がった反発が5月もそのまま続いていることがわかります。5/21には成約単価が186.4万円まで上昇し、月の後半にかけて180万円台で高止まりしました。
| 開催日 | 出品台数 | 成約台数 | 成約率 | 成約単価 |
|---|---|---|---|---|
| 4/23 | 20,281台 | 13,098台 | 64.6% | 169.1万円 |
| 5/14 | 22,440台 | 15,063台 | 67.1% | 171.0万円 |
| 5/21 | 20,014台 | 13,245台 | 66.2% | 186.4万円 ↑ |
| 5/28 | 20,638台 | 13,634台 | 66.1% | 181.3万円 |
※5月はゴールデンウィークの影響で第1週の開催がなく、5/14が初回開催です。単価は高額帯車種の構成比でも変動します。
前年同月比で見ても水準は高く、2026年5月の成約単価179.6万円は、2025年5月(160.2万円)に対して+12.1%高い水準。成約台数も前年比+18.9%です。中長期トレンドとしての国内中古車市場の活況は引き続き継続しています。
先月号で「下押しリスク」として挙げた要因(輸出フローの停滞による国内滞留)は、5月時点の数字にはマイナスの影響として現れていません。むしろ単価・成約率ともに改善しました。次章では、その背景にある輸出統計の最新動向を確認します。
2. 輸出統計(4月確定):ロシア・タンザニアが主軸、輸出先は組み替えが進む
2026年4月確定の中古車輸出統計(日本中古車輸出業協同組合まとめ/グーネット自動車流通)を見ると、輸出先の顔ぶれは引き続き組み替えが進みつつも、上位は安定しています。
輸出台数 国別ランキング(2026年4月確定)
| 4月順位 | 国名 | 4月輸出台数 | 3月輸出台数 | 前月比 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 (→1位) | ロシア | 19,966台 | 19,424台 | +2.8% |
| 2位 (→2位) | タンザニア | 15,885台 | 16,106台 | -1.4% |
| 3位 (↑7位) | 南アフリカ共和国 | 8,187台 | 7,661台 | +6.9% |
| 4位 (↓3位) | チリ | 7,728台 | 9,395台 | -17.7% |
| 5位 (↑6位) | モンゴル | 7,572台 | 8,104台 | -6.6% |
※日本中古車輸出業協同組合がまとめた中古車輸出統計(グーネット自動車流通)を基に集計。前月比は3月分との比較。順位の()内は3月の順位。
上位は安定、新興の出荷先が入れ替わる構図
4月のランキングで読み取れるポイントは3つです。
- ロシアが1位を維持(19,966台・+2.8%):中央アジア経由ルートが安定稼働し、2万台規模での出荷が続いています。日本車の最大の出荷先として定着しつつあります
- タンザニアが2位で安定(15,885台・-1.4%):アフリカ向けの主力ルート。前月とほぼ横ばいで、安定した受け皿になっています
- 南アフリカ共和国が3位に浮上(8,187台・+6.9%):前月7位から急上昇。一方でチリ(-17.7%)・モンゴル(-6.6%)は減少し、3〜5位の新興出荷先は月ごとに入れ替わる流動的な状況です
なお、年初に上位だったアラブ首長国連邦(UAE)は、3月以降TOP5圏外の状態が続いています。これは輸出航路・物流の事情によるもので、UAEそのものの中古車需要が消えたわけではありません。注目すべきは、こうした輸出先の組み替えが進む一方で、国内オークションの成約単価はむしろ上昇している点です。ロシア・タンザニア・南アフリカなど複数ルートが受け皿として機能し、輸出フロー全体としては台数を維持できていることが、国内相場の底堅さにつながっていると考えられます。
先月号で警戒した「特定ルートの停滞による国内滞留 → 相場下押し」というシナリオは、現時点の数字では確認されていません。輸出先が分散しながらも総量が保たれているため、過度に弱気になる必要はない局面と見ています。
3. 「今売るべき車」vs「待ってもいい車」最新版
車種別の売却戦略は、輸出需要に支えられる車種と、国内需要が中心の車種で引き続き分かれます。5月の単価上昇を踏まえると、輸出需要の強い車種は高値圏を維持しています。
輸出強需要組:高値圏を維持、底堅く推移
大型SUV・ミニバン(輸出需要が厚い)
- ランドクルーザー250(新車超え相場が継続)
- ランドクルーザー300(ガソリンZXが反発、高値圏)
- ランクルプラド(10年落ちでも200万円超)
- アルファード(40系反発・30系は据え置き)
- ヴェルファイア(40系反発・30系は据え置き)
- ハリアー(80系は高年式軟化・低年式底堅い)
- ハイエース(世界的な商用車需要で底堅い)
これらの車種は5月の単価上昇局面でも高値圏を維持しています。輸出需要に支えられた車種は相場の底がしっかりしている一方、車種・年式・グレードによって方向感が分かれてきているのが足元の特徴です。ディーラー下取りでは輸出評価が反映されず数十万円単位で差が出やすいため、高値圏の今のうちに査定で現在価値を把握しておく価値があります。

国内需要依存組:影響は限定的だが、上昇材料も乏しい
- 軽自動車:タント、N-BOX、スペーシア(新車納期正常化で中古需要は弱含み)
- コンパクトカー:ヤリス、フィット、アクア、ノート(供給増による価格圧力)
- セダン:プリウス、カローラ
- 5ナンバーミニバン:セレナ、ノア、ヴォクシー、ステップワゴン
これらの国内需要依存車種は、輸出動向の影響をほぼ受けません。市場全体の単価が上昇した5月でも、「待てば大きく高くなる」材料は乏しい状態です。決算期の駆け込み需要は終わり、新車納期も正常化しているため、特に車検が近い場合は車検を通す前の売却が経済合理的です。

4. 6月の見通し:強含みの継続か、出品増による調整か
5月の単価上昇を受けて、6月のオークション相場は「高値圏での推移」を基本線に見ています。注視すべきは、相場を押し上げる要因と押し下げる要因のバランスです。
- 支える要因:輸出需要がロシア・タンザニア・南アフリカなど複数ルートで維持されていること。前年同月比+12.1%という高水準のトレンドが続いていること
- 注意したい要因:決算期明けの通常期に入り出品台数が増えること、新車納期の正常化が進むこと。供給増が単価の上値を抑える可能性
- 不確実要因:輸出航路・物流の状況。特定ルートの再開・縮小は出荷量に影響し得ますが、現時点では複数ルートでの分散により総量は保たれています
総じて、6月は5月の高値圏を維持しつつ、出品増の影響を見極める展開を基本線と見ています。先月号で提示した「滞留からの急落」シナリオは、5月の実績では顕在化しませんでした。とはいえ単価が高水準にある今は、輸出需要に支えられた車種にとって売却の好機であることに変わりはありません。
まとめ:5月は反発・上昇、高値圏での売却判断を
2026年5月の中古車市場は、3月の急落・4月の横ばいを経て、成約単価179.6万円(前月比+9.6%、前年同月比+12.1%)と明確に反発・上昇しました。先月号で警戒した輸出停滞による下押しは、現時点の数字には現れていません。輸出先がロシア・タンザニア・南アフリカなど複数ルートに分散しながらも総量が保たれ、国内相場の底堅さにつながっています。
結論として:
- 輸出需要の強い車種(ランクル・アルファード・ハイエース・ハリアー等)に乗っている方:5月の上昇で高値圏を維持しています。高値のうちに査定で現在価値を把握しておくと、売却タイミングの判断材料になります
- 国内需要依存の車種(軽・コンパクト・5ナンバーミニバン)に乗っている方:輸出動向の直接影響は受けにくい一方、上昇材料も乏しい状態。車検時期などの実需を基準に判断するのが合理的です
- 共通:査定は無料・営業電話なしで取れるサービスがあるため、まず現状の値段を把握しておくことが最大の自衛策です
輸出ルートを持つ買取業者での査定が、ディーラー下取りとの差額を最大化する鍵になります。具体的にどの業者が向いているかは、車種・状態によって変わるため、以下の完全ガイドで自分のケースに当てはめて確認してください。
\ 車種×状態で選ぶ!損しない売却ルート診断/
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本レポートのデータ出典・編集方針
- USS業者間オークションデータ:USS東京の週次開催結果(2026年5月14日・21日・28日開催分)を基に、当編集部にて月次平均を算出
- 輸出統計:日本中古車輸出業協同組合がまとめた中古車輸出統計(2026年4月分/グーネット自動車流通)を基に集計
- 編集方針:当メディアは中古車買取・売却の意思決定支援を目的とし、業者間オークションの実勢データに基づく相場分析を毎月公開しています。相場の方向性は実績データに基づいて記述し、確認できていない事象を相場変動の主因として断定することは避けています。広告主・買取業者からの個別の依頼により分析内容を変更することはありません
- 本号公開日:2026年6月10日
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